Lexarの512GBのmicroSDXCカードを買ってみた
先に謝罪を。
実は、前回の「Lexarの512GBのmicroSDXCカードを買ってみる」を書いた直後、すっかり注文するのを忘れてしまい、買っていなかったのである。
そう。書いて終わりだったわけだ。あはははははははっははあ。
しかし、これではまずいと思った。そう。まずいのだ。それから日が経ち、ますます値段は下がっていった。そして、なんと7000円を割ったのだ。
7000円以下で購入できるとは・・・
先に言っておくが、もう7000円以下では売っていない。その出品者からの販売はなくなってしまい、現状(2019年6月7日現在)は、最安値で風見鶏が出品者となっている。
赤枠で囲ったのが今回購入した出品者である。新規出品者となっており、評価が一切ないことに不安を覚えたが、Amazon発送であるため、もし容量偽装品などの偽物が届いた場合でも無条件に返品できるため、購入に踏み切った。
リンクを貼っておきます↓
きた
Amazonプライム会員であるため、即日に配達され受け取ることができた。
まずは外観から見ていく。
不思議なパッケージである。通常のSDカードのパッケージに中国出品者特有の謎のチャック袋に入った状態で届いた。
結論から申し上げれば、偽物でもなく容量偽装品でもなかった。
意味が分からないが、謎の中国語満載のシールが貼られていた。中国の出品者が時刻から日本のAmazonの倉庫に納品して売っていたのだろうか。
パッケージ左上には、正規品か同課の真贋を見ることができるであろうスクラッチシールが貼付されていた。
こんなのが貼られていれば、正規品として疑うこともない。
毎度おなじみ、h2testwでの検証結果である。全領域エラーを出すことなく、容量偽装品でないことが証明された。また、転送速度も公称値には届かないものの十分な速度が出ており、不満に感じることはないだろう。
終わりに。
結論から言えば、ずいぶんと安価で購入できたということである。これはこれでラッキーととらえるほかない。非常にお買い得である。
実は購入前、同一出品者で在庫残り20個の表示があり、1時間くらい経った後に再び見てみたら残り2個となっていた。短時間で安価で販売し、在庫を無くしたかったような売り方であったようにも見える。
同一商品であるが、Amazonには多数の商品ページがあり、多数の出品者から販売されている。レビューを見ると、偽造品との報告はあまり見られないが、耐久性はそれほど良くないらしく、ReadOnlyになってしまう傾向が多いらしい。
値段なりとの評価が下される典型的な商品であると印象が強い。
とりあえず、偽物でも容量偽装品でもないようである。しかし、タブレットのmicroSDカードとして使うか、データ保管用として使うか迷っている。512GB大きさはいまだかつて考えたこともない膨大な数値である。
おそらく死ぬまで使い切ることはないだろう。
※おことわり
この記事の情報は2019年6月7日22:00現在のものです。
Lexarの512GBのmicroSDXCカードを買ってみる
Amazon発送で8998円
さて、久しぶりの更新となったネタが、またmicroSDXCカードの話題である。
実はこのmicroSDカード、秋葉原の東映無線やあきばお~で9000円くらいで売られていて安い安いと言われていたものである。
Twitterのタイムラインでもよく見かけていて、実際秋葉原に行った時も見てはいたが、いくら安いといわれていたにせよ、9000円台としても、四捨五入すれば10000円という金額ではなかなか手が出せなかった。
【GW特価!!・・・Lexar microSDXC 512GB】
Lexar LSDMI512BBAP633A ¥8,980(税込み)
※東映全店で好評販売中です。!! pic.twitter.com/C5TD2N8q6i— テクノハウス東映 (@toeimusen_th) May 5, 2019
・・・・・・・?
この記事を書いている現在、今、この時、この瞬間、なんと9080円まで値段が落ちていた。うそだろ…おい…。もう記事書く必要ないじゃん…。
なんて言って終わるわけもないので、購入し、実際にレビューしていこうと思う。
次回以降ね。
買ったやつはこれ↓
ついでにいろいろ書いておく。
Yi 4K+ Action Camについて
開けた跡があるだの、不良品だの、バッテリーが入ってないのだのいろいろ書いていたわけですが、AliExpressの運営に事情を説明し返金対応を求めたところ、バッテリーの代金に充当する金額のみ(約6000円)返金されました。つまり、バッテリーが無くて動かないカメラに25000円近く払ったことになります。
これ以上付き合っても仕方ないと思ったので、Amazon.co.jpで互換バッテリーを購入。Amazon.co.jpでもYiの公式ショップもあるのに、正規品のバッテリーは売っていないのです。なんともやる気があるのかないのか微妙な売り方です。
互換バッテリーを突っ込んだところ、一応の動作は確認できました。ただ、Wi-Fiがうまくつながらないのでスマホとのリモート機能が使えませんでしたが、microSDカード経由でファームウェアのアップデートを行なったところ、正常に動作するようになりました。
そんなこんなで使っていました(旅行先の動画撮影や自転車のハンドルにつけて撮影)が、GoProHero7Blackが発売され手振れ補正の性能が雲泥の差であることを見て、フリマアプリで売り飛ばし、GoProHero7Blackを購入しました。
ちなみにYi4K+は、この期に及んでSoftBankの公式オンラインショップから販売されています。当時はWi-Fiの技適が通っていなかったのですが、日本で公式に売られているようですので技適が通ったのだと思われます。
つまり、私が使っていたものはWi-Fiの技適は通っていなかったということになりますかね・・・。
【実機検証】JNHショップオリジナルブランドのmicroSDカードについて
【実機検証】JNHショップオリジナルブランドのmicroSDカードについて
到着
昨日記事に書いた、JNHオリジナルブランドのmicroSDカードが手元に届いたので、さっそく紹介&レビューをしていく。
Amazon.co.jpでの販売ページ
最初にリンクを貼っておく。画像をクリック!
商品外観
パッケージなど、商品説明と同じであった。まぁ当たり前のことではあるが、なかなかしっかりしているなと感じる。ここで気づいたのだが、通常サイズのSDカードに変換するアダプタが付属していない。もはや、そのままスマホやアクションカメラなどに挿入して使うことを想定しているのだろうか。あとは、コストカットであろう。
Read Speed、Write Speedについて
ほぼ、スペック通りの数値を叩き出していた。ユーザーレビューでも同様の結果が出ていたのでそれほど驚きはなく、まぁ当たり前かといった印象だが、この価格で提供できるのはやはりコスパに優れているといえそうである。
容量偽装について
約100分ぐらいかかったが、エラーが出ることなく容量チェックもパスした。正常に使える製品という検証ができたことで、安心して使える。
最後に
また何かあれば追記していくつもりでいるが、購入から検証およびレビューはここまでにしておく。
ただ、耐久性はわからない。ドラレコのようにずっと書き込みを続けるような機器には専用のmicroSDがあるように、この製品は適さないであろう。また、OSMOPocketとの相性問題があるように、まだまだ謎がある製品である。
この記事が、製品購入の参考になれば幸いである。
おことわり
記載の情報は、2019年1月6日15時30分現在の情報です。
【続編】JNHショップオリジナルブランドのmicroSDカードについて
【続編】JNHショップオリジナルブランドのmicroSDカードについて
前置き
なんと、microSDだけの販売だと思ったら、通常サイズのSDカードも販売されていた。しかし、レビューの未だに無く、あまりユーザー視点での紹介ができそうにないのが残念である。
microSDの需要が上がってきて、通常サイズのSDカードはそこまででもない、という時代の流れを少し感じた気がした。
Amazon.co.jpでの販売ページ
最初にリンクを貼っておく。
商品ラインナップとしては、microSDカードと同じく、「32GB」「64GB」「128GB」「256GB」の4種類のようだ。
なんとmicroSDと全く同じスペックである
異なるのは、「App performance Class」の項目が存在しないのと、価格のみである。
容量によって、スペックに差が出る。以下の表を参考にしてほしい。各商品ページのデータを見てオリジナルで作ってみた。
ちなみに以下は前回の記事で作成した、microSDのスペック表である。
Amazonの比較を見てみても、やっぱり安い。あとは耐久性だろうか。
おことわり
記載の情報は、2019年1月5日18時45分現在の情報です。
JNHショップオリジナルブランドのmicroSDカードについて
JNHショップオリジナルブランドのmicroSDカードについて
前置き
偽物のSDカードがよくある中、JNHショップからオリジナルブランドのSDカードが販売された。Amazon.co.jpだけでなく、Yahooショッピングでも販売されているのを確認できた。
このJNHショップについては、自分でいろいろ調べていただければわかるが、いろいろと問題があった会社である。任天堂に訴えられたとか、容量偽装のSDカードを売っていたとか、そういった情報が蔓延している。しかし、最近ではまっとうな商売をしてきているようで、正規品ばかりを販売するようになってきた。
そこで、オリジナルブランドなんて言うものを出してきたから、また容量偽装品か?と疑いの目を向けて紹介してみる。
Amazon.co.jpでの販売ページ
最初にリンクを貼っておく。
商品ラインナップとしては、すべてmicroSDカードで「32GB」「64GB」「128GB」「256GB」の4種類のようだ。
仕様としては、256GBの場合、「V30対応」で「A1対応」となかなかのスペックである。
しかし、容量によって、スペックに差が出る。以下の表を参考にしてほしい。各商品ページのデータを見てオリジナルで作ってみた。
商品ページの説明には、256GBの場合、以下のような説明がある。
カスタマーレビューによる評価は比較的高く、費用対効果という面では高得点かもしれない。
以下、参考になりそうなレビューを紹介する。
256GBを購入したユーザーのようだが、公称値に近い値が計測できている。また、容量偽装等もなく、れっきとした正規品であることが見える。
このユーザーはスマホのアプリで、SDカードに記録されている製造元のデータを出してみたようだ。こちらも、正常に使用できている様子がうかがえる。
ひとつ前と同じユーザーであるが、こちらは64GBのモデルの検証結果のようだ。使用されているチップの製造元が、「128GBではPHISON」、「64GBではPanasonic」と表示されている。Panasonicと表示されるのはあまり聞かないので、少々疑問が残る気もするが正常に使用できているようなので良いのかもしれない。
製造元について、レビューに対する返信の形でメーカーおよび発売元であるであるJNHショップから言及されていた。
「Panasonic、TDK、SONYの一部商品と同じ工場で生産されています」ということは、先ほどのアプリでの表示の「Panasonic」は問題ないのかもしれない。しかし、「PHISON」が無いのが気になる。
しかし、上記三社のようなメーカーと同じ工場で作られているのにこの金額でこの性能を出しているというのはなかなかコストパフォーマンスに優れた製品といえよう。
メーカーも商品ページのほうで言及していた、OSMOPocketとの相性問題による低評価レビューが散見された。もろに相性問題が出てしまった典型的な例といえよう。なぜなら、メーカーからは「GoProでは動作確認済み」との案内が出ているうえ、高評価レビューの中にも使用できたとの投稿があるためである。ただ、先ほどの大手三社と同じ工場で生産されているならば、そのメーカーのSDカードでも同じような相性問題が出るのか見てみたいところである。
OSMOPocketでは使えなかったというレビューがちらほら目立つ。
単純に使えなかったというレビューも少数ではあったが見られた。書き込みエラーというのがいまいちピンとこないが、おそらく速度の問題かもしれない。しかし、128GBでの最大書き込み速度は先ほどの表を参照のとおり、「80MB/s」は出るのでなかなか起こりにくい気もする。
容量偽装の場合、書き込むことはできるものの、読み出しが「データ破損」という形で出てしまうという症状が発生する。しかし、書き込みの時点でエラーが出るというのは容量偽装ではないと考えられるが、いまいちわからない。
2枚セットという販売ページも見つけた。
製造元について
製造元について、以下の画像の通り、SONYとPHISONの関係は分かった。SONY製のmicroSDはPHISONが主力メーカーのようだ。
明日(2019年1月5日)に届く予定なので、またレビューをあげようと思う。
おことわり
記載の情報は、2019年1月5日18時45分現在の情報です。
君の膵臓をたべたい
君の膵臓をたべたい
この映画が最近話題になっていた。公開から一年経って地上波初放送もあってそこにアニメ映画の公開も相まってさらに話題は拡大していた。
無論、自分の周囲では、キミスイ、キミスイと毎日のように話題になっていた。そんなに面白いのか。「君の膵臓をたべたい」なんて猟奇的なタイトルに敬遠しがちであったが、友人が録画していた実写映画を見て、正直残念な感想を持った。
あの展開で、通り魔に刺されて死ぬ。という結末は正直頂けなかった。あれはない。あの終わり方はよくない。第一印象はそうだった。
あんなひどい結末を書く小説家なんてろくでもない奴だろうと思い、作者について調べてみた。
そうしたらなんだ。もとは素人だった。
素人が小説を投稿できるサイトに投稿したら、たまたま本業の小説家の目に留まり出版社に持ち込んでみたら出版が決まったという展開が記されていた。
なーんだ。所詮は素人がたまたま書いた小説で、たまたま売れただけで、映画化してみたら実力派女優というのが抜擢されて、感涙上々の出来になったとかで世間の話題にのったのだった。
そう、こんなくだらない感想と印象を持っていた。原作を読むまでは。
原作を映画は少々ストーリーが異なるというのはどこかのまとめサイトで見た記憶があった。ただ、結論は同じだった。通り魔に刺されて死ぬ。これは変わっていない。
しかし、その通り魔に刺されて死ぬ、までの経緯とその後の描き方が映画と原作ではまるで違っていた。というかとらえ方にだいぶ差が生じてしまうようなものであった。
これは原作を読んだほうがいいと改めて思った。原作には映画にない部分がたくさん描かれているし、その意味を理解したうえでの映画のストーリーにつながる部分の数多くあった。
映画化に向けて、もう少し努力するべき作品だと感じる。正直その展開で通り魔に刺されて死に、その後の物語の展開は、なんだか心に引っかかる。
原作はそのようなことはなかった。
映画のストーリーでは十何年後かの「僕」の姿とその取り巻きが登場するが、それに合わせてストーリーを変えてしまったのが原因かもしれない。
原作ありきでの映画だなぁと強く感じた。
この作品については。正直、原作のほうが感涙上々である。
或る夜のはなし
熱帯夜が続いていた夏に、2日間の土日だけからっと乾いた涼しい夜がやってきた。
日中から過ごしやすい気候で、いわゆるお出かけ日和だったその日は、気温はそのままに夜になっていた。
土日ともなれば夜更かしが定番となる。案の定、日中出かけたにもかかわらず、深夜までパソコンで映画を観尽くした私が一息ついて風呂から上がった時には時計の針が一時半を指していた。
平日に勤めに出ている時とは違って、深夜でも眠くならない。明日は日曜日だし朝寝坊できるという余裕があるからかもしれない。
いつもなら、観尽くした映画をさらに見たり、ネットサーフィンをしたりと夜更かしを継続させていたはずだが、今夜は外が涼しいということもあり、散歩にでも出かけてみようかという気になった。
深夜の一時半というあまりにも遅い時間は、社会人になりたてのやっと独り立ちした私にとって、見知らぬ世界への入り口に過ぎなかったこともあり、何のためらいもなく、私の足を夜の町へと動かしたのである。
住んでいるところは、東京の夜景がはるか彼方に見える海を挟んだ田舎町。東京から電車に揺られて2時間弱かかる近郊である。
それゆえに、深夜ともなれば街灯がぽつぽつ点いているだけで人っ子一人いない。裏道が通っているこの地域は車通りもない。なおさら静かなのである。
特に目的もなく田舎道を歩いた。ポケットには途中でジュースでも買おうと思って財布と一応スマホを入れてきた。
夜道を小一時間ほど歩くと、通りに面して煌々と明かりが見えた。それは結構な規模の公園だった。
道を逸れて中に入ってみると、それまで歩いてきた夜道にあった街灯とは比べ物にならないほどの大きさと明るさの街灯が、その下のベンチと水の止まった噴水を照らしていた。
なかなかいい雰囲気の公園だと思った私は、そのベンチに座ってみた。いや、引き寄せられた感覚があった。
明かりに照らされたそのベンチは、なにか特等席のような空気を醸し出していた。
ここはなんという公園なのだろうと思い、スマホを取り出して調べてみた。
しかし、検索しても出てこない。
住んでいる地名と「公園」というキーワードを組み合わせてもヒットしない。
さては、小一時間ほど歩いてきたので遠方まで来てしまったのか。平坦な道をこれだけの時間歩いていたから、思ったより遠くまで来てしまったのかもしれない。
今、自分がいる場所さえも分からないので、スマホの位置情報をオンへ設定しようとした。しかし、オンにならない。すぐにオフの表示に戻ってしまう。もう一度やってもさらにやっても結果は同じだった。
今いる場所がわからない以上、これ以上先へは行かず、来た道を折り返すほか選択肢はない。住み慣れていない土地で、しかもこんな夜更けに出歩いていること自体、危なっかしい。
あきらめて、スマホから目線を上げると人影がこちらに向かってきているのが見えた。
「こんな時間に?」
もう一度スマホに目をやると時刻は2時半を示している。まさに草木も眠る丑三つ時の真っ只中である。
そのまま近づいてきて私の目の前に止まったその人影は、
「となりいいですか?」
と声をかけてきた。
不思議と恐怖は感じなかった。むしろ、人が来てくれて安心した気持ちが強かった。
「どうぞ」
ショートカットで顔立ちがはっきりしているかわいい感じの女の子。年は自分と同じくらいだろうか。
深夜の公園の街灯の下のベンチで二人の男女が座っているという何とも奇妙な光景である。
女の子が声をかけてきた。
「お散歩ですか?」
「はい。」
「どちらから?」
「富士見台です。」
「遠いですね。」
「えぇ、まぁ。涼しくてちょっと歩きすぎました。あなたは?」
「私は近くです。ここ大山町です。」
聞いたこともない地名だった。
大山町。
調べてみようとスマホを取り出そうとしたらまた声がかかった。
「失礼ですがおいくつですか?」
「18歳、来週で19になります。」
「私も18で、来週で19になります。同い年ですね。」
「え、じゃあ誕生日いつですか?」
「29日です。」
「一緒だ!」
なんだ、同い年か。しかも同じ誕生日。ってこんな時間によく一人で歩いてきたものだと心配になった。いくら補導されない年齢とはいえ時間が時間だった。こんな時間に敬語も疲れたので提案した。
「タメでもいい?」
一瞬驚いた表情を見せた彼女は、すぐに笑顔になって
「うん、いいよ」
と返してくれた。
「こんな時間に一人で怖くない?」
「ううん。散歩に出た理由はあなたと一緒。涼しかったから。」
「親は心配するんじゃない?」
「大丈夫、一人暮らしだから。」
「そうか、僕と一緒だ。」
「そうなの?」
「今年からね。社会人になったばかりなんだ。」
それから、彼女とはいろんな話をした。社会人になって、自分が今いる会社での研修のこと。同僚のこと。ここでの暮らしのこと。
聞くと、彼女は、大学生らしい。地元の高校を首席で卒業したものの、センター試験当日に事故に遭い試験を受けられず、滑り止めで受けていた大学に進学することになり、この地に引っ越してきたという。
気づくと、空が明るくなってきた。夜明けが近づいているようだ。時刻は4時過ぎだった。
彼女が言った。
「そろそろ帰るね。実は今日、大学でテストがあるの。」
「え、じゃあすぐ戻って寝ないと。」
「大丈夫、午後からだから。ゆっくり昼まで寝るわ。」
「そうか。じゃあ、おやすみ。」
「バイバイ。」
手を振って彼女が走り出していった。その後姿が見えなくなってから、ベンチから立ち上がった僕は帰路についた。
来た道を戻るだけであったが、夜の道と明け方の道では道の表情が変わっていて、少し不思議な感覚にとらわれた。
帰宅してから、さっきの公園がどこなのか、大山町はどこにあるのか、パソコンで検索してみた。
「大山町 公園」
ヒットしない。全く違う東北地方の地名が出てきた。そもそも大山町ってどこ?
「千葉県 大山町」
一番上に、ある検索結果が出た。
『消えた大山町とその記録』
消えた?消えたということは今はもうないのか?混乱した。意味が分からない。
クリックしてみると簡素なホームページに三行の説明が表示された。
ー
大山町は、平成10年8月29日まで千葉県にあった地名。現在は新内川の氾濫を防ぐために建設された富士見ダムの底に沈んでいる。平成10年8月30日付で地名登録から外された。
当時の住民は18名(男性10名、女性8名)であったが、そのうち17名(男性10名、女性7名)が転出した。
なお、女性1名については現在も消息が分かっておらず、ダム建設前には一斉捜索が行われたが発見に至らなかったため、当時の地元役場は、先に引っ越したのだろうと結論付け、7日間続いた捜索は平成10年8月28日で打ち切られ、その後、大山町に人が立ち入ることはなかったとされている。
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大山町はもう無くて、ダムの底に沈んでいる。女性が一名行方不明。それしかわからない。
女性が一名行方不明が引っ掛かった。
あれ?もしかして・・・。
急いで外に駆け出した僕は明け方までいた公園を目指し走ったが、その姿は影も形もなくなっていて、その公園があったはずの、僕らが座っていたベンチを照らしていた、あの大きな街灯があったところには、もっと大きな鉄塔がそびえていた。
編集後記
何の生産性もない物語です。ただ、ひとつだけ。これはノンフィクションであることだけ記しておきます。深くは語りません。
或の日、或の夜、体験したことはもう二度と訪れないと思えるくらい新鮮でした。
おことわり
作中に登場する、人物名、地名、施設名、および固有名詞はすべて架空のものです。
この作品は筆者が体験の基にしたノンフィクションです。